ドクターインタビュー

DOCTOR INTERVIEW

いつでも頼れる、
安心の泌尿器科を目指して

泌尿器科

宇田川 剛部長

TAKESHI UDAGAWA

断らない医療を実践する泌尿器科

泌尿器科では、腎臓・尿管・膀胱・前立腺・精巣など、尿路系および男性生殖器に関わる様々な疾患に対応しています。排尿に関するトラブル、尿路結石、前立腺肥大症、さらに前立腺がん、膀胱がん、腎がんといった悪性腫瘍まで、対象疾患は多岐にわたります。お子さんから高齢の方まで、幅広い世代の患者さんに対応できる体制を整えており、地域の中で「どこに相談すればいいか迷ったときに頼れる診療科」としての役割を担っています。

また「断らない医療」をモットーに、紹介状の有無にかかわらず、対応する姿勢を大切にしてきました。患者さんが不安を抱えたまま、診療に結びつかずに終わってしまうことがないよう、まずは当院で丁寧にお話を伺うことを心がけています。泌尿器科は急性疾患も多く、迅速な対応が求められる場面も少なくありません。だからこそ、日常的なトラブルから急な症状まで、安心してご相談いただけるような診療体制が大切だと考えています。

HoLEPによる低侵襲で再発の少ない治療

泌尿器科でよく見られる男性の排尿障害の主な原因のひとつに、前立腺肥大症があります。加齢とともに前立腺が大きくなることで、尿の通り道が狭くなり、排尿に時間がかかったり、夜間頻尿や残尿感といった症状が現れます。中には尿閉といって、完全に尿が出なくなってしまう方もいます。当科では、こうした症状に対して「HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)」を積極的に導入しています。HoLEPは、肥大した前立腺組織をレーザーで剥離切除する手術治療法です。ホルミウムレーザーを使用することで、出血が少なく、術後の回復が早い点が大きな特長です。前立腺内腺をきれいに剥離するため、再発しにくく、長期にわたって効果が期待できます。患者さんにとっても大きなメリットのある治療法といえます。

従来のTURP(経尿道的前立腺切除術)に比べて、HoLEPは比較的体積の大きな前立腺にも対応可能で、入院期間の短縮やカテーテル抜去の早さなど、患者さんにとっての負担軽減にも繋がっています。実際に治療を受けた患者さんからは、「長年悩んでいたのが嘘のようだ」「夜中に何度も起きていたのが改善された」、「もっと早くやれば良かった」といった声を多くいただいています。

痛みに迅速に応える診療体制

尿管結石は、突発的な激しい痛みや血尿を伴うこともある、泌尿器科の中でもよく見られる急性疾患のひとつです。比較的若い世代から中高年まで、幅広い年代で発症し、とりわけ暑い時期には水分不足などが誘因となって患者数が増加する傾向があります。

以前は、体の外から衝撃波を当てて石を砕く「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」が主流でしたが、現在では内視鏡を用いて、結石を直接破砕する「経尿道的尿管結石破砕術(TUL)」が主軸となっています。レーザーを使用することで、結石を確認しながら確実に砕き、細かくなった破片をバスケットで摘出することが可能です。この方法の最大のメリットは、確実性が高く、再発リスクを抑えられる点にあります。実際に治療を受けた患者さんからは、「急な痛みにすぐ対応してもらえた」「短時間で楽になった」といった声を多くいただいています。

尿管結石治療では、石の大きさや位置、数、既往歴などに応じて難易度が異なりますが、当科では詳細な画像診断をもとに、患者さん一人ひとりに合った方法をご提案しています。迅速な対応と低侵襲な治療を両立することで、泌尿器科としての対応力をさらに高めていきたいと考えています。

診断から看取りまでを担う泌尿器科

私が泌尿器科を専門に選んだきっかけは、研修医時代に自由選択の枠で、たまたま泌尿器科を回ったことでした。学生時代に膀胱鏡検査で膀胱腫瘍を見たことがあり、それは水中にイソギンチャクが漂っている水族館のような不思議な映像が印象に残っていました。それがきっかけで泌尿器科のローテーションを選択したところで、更なる泌尿器科の魅力を知ることになりました。泌尿器科ではがんの診断から手術、抗がん剤治療、必要であれば看取りまで、一人の医師がすべてに関わることができる診療科です。診断して、手術治療して、その後も継続して支えていける。この一貫した関わりが大きな魅力でした。

患者さんにとっても、同じ医師が長く関わってくれるという安心感があると思いますし、医師側にとっても「診る責任」を最後まで持てるということは、非常にやりがいがあります。時には責任の重さを感じる場面もありますが、その分、診療を通して患者さんの人生に深く関わることができる喜びがあります。泌尿器科は、外科的手技と内科的判断の両方が求められる分野であり、やればやるほど奥深い。自分の手で全体を見届けたいという思いに応えてくれる診療科だと、今も強く実感しています。

少人数の強みを活かしたチーム医療

当科は少人数体制ではありますが、一人ひとりの役割が明確で、密な連携が取れる強みがあります。手術の際には必ず2名以上で対応し、互いに判断を補い合いながら安全性の高い手術を心がけています。チームとしての信頼関係があってこそ、スムーズな対応が可能になりますし、それが患者さんの安心にもつながると考えています。カンファレンスなどでの情報共有も密に行い、治療方針の決定にもブレがないよう心がけています。

さらに人材育成の面では、若手医師に対し、一対一で丁寧な指導を行っています。当科では、聖マリアンナ医科大学 腎泌尿器外科の医局から2年ごとに医師が派遣される体制となっており、「この医師をしっかり育ててほしい」といった依頼を受け、指導を任されています。技術の習得だけでなく、診療に対する考え方やチーム医療の進め方についても重視して伝えるよう心がけており、こうした取り組みを継続する中で、教育の場としても徐々に信頼を得られるようになってきたと感じています。

信頼関係を築く地域連携のかたち

泌尿器科の診療では、急性疾患や突発的な症状に対応する場面も多く、地域の医療機関との連携は欠かせません。当院では、泌尿器科の救急対応にも力を入れており、「困ったときに紹介できる診療科」として、地域の先生方からの相談を日々受け付けています。講演会や勉強会、懇親会などを通じて、地道に顔の見える関係性を築いてきました。

こうした取り組みを重ねた結果として、私がこちらに赴任した2015年当初は年間200件程度だった手術件数が、現在では約480件にまで増加しています。10年間で倍以上に増えたこの数字は、地域の先生方からの信頼やご紹介の積み重ねの証であり、「まず日本鋼管病院に相談してみよう」と思っていただけるようになったことの表れではないかと感じています。

中には、紹介先の病院が他に見つからずご連絡をいただくケースもありますが、まずは診てみるという姿勢で、お断り無く対応し、地域の中で必要とされる役割を担っていきたいと考えています。泌尿器科は身近でありながら、相談先がわかりづらい分野でもあります。だからこそ、患者さんにとって身近で気軽に頼れる存在でありたいと思いながら、日々の診療にあたっています。

身近な専門科として、気軽に相談できる窓口に

泌尿器科は、一見ニッチな診療科に見えるかもしれませんが、排尿障害や尿路結石、前立腺肥大症、悪性腫瘍など、実は日常生活に深く関わる疾患を多く扱っています。それにもかかわらず、「どこに相談すればいいのか分からない」と迷われる患者さんも少なくありません。そうした方々が適切な医療にたどり着けるようにするためには、地域の先生方との連携が不可欠だと考えています。どんな些細なことでも構いませんので、「これは泌尿器科で診てもらえるだろうか」と思われた際には、ぜひ気軽にご相談いただければと思います。

紹介状がなくても診察は可能ですし、急な対応が必要な場合でも柔軟に対応いたします。「まず日本鋼管病院の泌尿器科に聞いてみよう」と思っていただけるような、地域の中で頼りにされる窓口になれればと考えています。地域の医療資源の一端として、今後も皆さまと協力しながら、より良い診療体制を築いていければ幸いです。

宇田川 剛

泌尿器科部長

経歴
  • 千葉県出身
  • 2005年 聖マリアンナ医科大学医学部 卒業
専門分野
  • 泌尿器科疾患全般
資格
  • 日本泌尿器科学会認定専門医・指導医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 泌尿器腹腔鏡技術認定
  • 身体障害者福祉法15条指定医 (ぼうこう又は直腸機能障害、じん臓機能障害)
  • 難病指定医