呼吸器内科

肺がん

川崎肺がんネットワーク(通称:川肺ネット)

 肺がんが疑われた時、肺がんと診断された時、大変悩まれることかと思います。
 どのような治療があるのか、手術がいいのか、放射線ができるのか、抗がん剤は使えるのか。どの病院で治療できるのか、がんセンターや大学病院がいいのか、いきなり大きな病院へ行っていいものなのだろうか。今後の治療スケジュールはどうなるのか、仕事は今後もできるのだろうか、などなど様々なことを考えると思います。
 そのような患者さんがいらっしゃった場合に、わたくし達こうかん呼吸器では、肺がんの状況をしっかり把握させて頂き、適切な治療法や医療機関を紹介致します。もちろん肺がんの手術や抗がん剤の治療の多くは当院で対応可能です。ただ当院は放射線治療の設備がないため、放射線照射の方が望ましい、場合には速やかに近隣の市立病院や高度医療機関に紹介致します。またがんセンターや大学病院での治療を希望される場合には、遠慮なく仰って頂ければ紹介状を作成します。逆にがんセンターや大学病院で診断されても、治療は家の近くの当院で行いたいような場合でも対応可能ですのでいつでもご相談下さい。

 わたくしは川崎南部地域で10年以上呼吸器診療に携わっております。市立病院やがんセンター、大学病院や近隣の先生方とも常に連携しながら診療してまいりました。特に肺がん診療に関わる医療機関とは密につながりを持っています。それを個人的に『川崎肺がんネットワーク』(通称:川肺ネット)と呼んでいます。もし肺がんの検査や治療で悩んでいる、相談したい、意見が欲しい、などお困りごとがありましたら遠慮なく当院こうかん呼吸器にご相談下さい。

 こうかん呼吸器では、肺がんが疑われた場合に速やかに組織診断・病期診断が行われるよう診療しています。現在の肺がんの状態を的確に判断させて頂いた上で、最善の治療を受けられるよう、常に呼吸器チームで検討しながら診療を行っています。今後も日々の勉強は欠かさず行い、目の前の肺に病気のある患者さんに全て還元していくことを約束します。肺がんが疑われて検査や治療について相談したい方はぜひ一度、こうかんクリニック 呼吸器内科を受診して頂ければ幸いです。

2024.12.3

日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長

田中 希宇人(たなか きゅうと)

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肺がんの画像検査

 肺がんを疑った時の行う画像検査はどのようなものがあるのでしょう?
 X線(レントゲン)写真で肺がんを疑うことができますが、CTでより細かく評価する必要があります。認められる異常な影でがケバケバしている(スピキュラ)場合や、胸膜を巻き込んでいる(胸膜陥入)があるような場合には肺がんを強く疑います。異常な影が石灰化を伴う場合や脂肪を含むような場合には肺がん以外の可能性を考えます。

 肺がんがどれくらい広がっているか病期診断(ステージング)には「TNM分類」が使用されます。Tは肺がんの大きさや場所、Nはリンパ節の広がり、Mは肺以外の転移があるか、胸水があるかどうかなどで決まっています。この組み合わせで病期(ステージ)、いわゆる肺がんの進行度が決定されます。

 肺がんは転移しやすい臓器や部位が分かっており、肺(反対側の肺や同じ側の異なる肺葉)、肝臓、副腎、脳、骨をチェックします。そのためにそれらの転移部位や腫瘍の大きさ・浸潤の程度などを評価するために病期診断目的にいくつかの検査が追加されていきます。病期の診断に使用される検査としては、

  1.  CT(造影剤を使うことが多いです)
  2.  頭部MRI(造影剤を使うことが多いです)
  3.  骨シンチグラフィ
  4.  PET-CT

などの検査を行います。特にPET-CT検査によってリンパ節(N因子)や遠隔転移(M因子)をより鋭敏に、正確に評価することが可能になりました。
 こうかん呼吸器では、肺がんが疑われた場合に速やかに組織診断・病期診断が行われるよう診療しています。(ただしPET-CTは当院にありませんので他検査機関・市立病院を検査のために紹介します) 実際の患者さんが一番良い状態で最善の検査や治療を受けられるよう、常に呼吸器チームで検討しながら診療を行っています。今後も日々の勉強は欠かさず行い、目の前の肺に病気のある患者さんに全て還元していくことを約束します。肺がんが疑われて検査や治療について相談したい方はぜひ一度、こうかんクリニック 呼吸器内科を受診して頂ければ幸いです。

2024.12.2

日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長

田中 希宇人(たなか きゅうと)

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肺がんの危険因子

 肺がんになってしまう方は何が関係しているのでしょうか。直接の原因は神様しか分かりませんが、一般的に言われている肺がんを引き起こす危険因子(リスク)についてみていきましょう。
 最も重要な危険因子は「タバコ」です。タバコは肺がんを含めて多くの病気の原因になることが分かっています。「タバコ問題」は将来の健康な社会を作り出す上で対策を真剣に取り組まなければいけない問題です。タバコを吸っている人(喫煙者)が肺がんを発症するリスクは、タバコを吸っていない人(非喫煙者)に比べて男性で4.4倍、女性で2.8倍高いという報告(Jpn J Clin Oncol 2006;36:309)があります。特にタバコを吸い始めた年齢が若ければ若いほど、タバコを吸っている年数や本数が多ければ多いほど、肺がんを引き起こす危険性が高まることも報告(The International Agency or Research on Cancer. Tobacco Control, WHO 2007)されています。
 タバコのほかにもCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎、アスベストによるじん肺などの病気も肺がん発症のリスクと言われています。肺がんに携わる医療者として、肺がんをのリスクとなるような病気の診療や環境問題に関しては常に真剣に捉えています。

 こうかん呼吸器では、肺がんの診療だけでなく、肺がんになりやすい病気の診断・治療や、タバコ問題についても常に考えています。今後未来の社会のため、子ども達の将来のため、肺がんで苦しむ患者さんが一人でも減るように、こうかん呼吸器チームは考えて行動しています。今後も日々の勉強は欠かさず行い、目の前の肺に病気のある患者さんに全て還元していくことを約束します。肺がんが疑われて検査や治療について相談したい方はぜひ一度、こうかんクリニック 呼吸器内科を受診して頂ければ幸いです。

2024.11.29

日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長

田中 希宇人(たなか きゅうと)

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肺がんって増えているの?

ここで肺がんの疫学についてみてみましょう。
 肺がんは日本人における癌による死亡の第1位となっています。2019年の報告では、肺癌は年間に男性で約53000人、女性で約22000人死亡しています[図1]。グラフは1950年代から現在に至るまで、肺がんで亡くなる方が右肩上がりに増えていることが分かります。

[図1:日本の肺癌死亡数 年次推移(国立がん研究センター がん対策情報センターより)]

 肺がんで亡くなる方が増えている背景には、肺がん罹患数や罹患率が上昇している背景があります[図2]。タバコやアスベストなど発がん物質も関係していますし、検査や診断技術が進歩して肺がんと判明する患者さんが増えたことも関係しています。

[図2:日本の肺癌罹患数 年次推移(国立がん研究センター がん対策情報センターより)]

 肺がんと診断される方は40歳代から少しずついらっしゃいますが、50歳代以上で急に増えることが分かります[図3]。ただ図からも分かる通り、実際の現場においても若くして肺がんと診断される方も稀ではありません。

[図3:日本の肺癌罹患数 年齢階級別(国立がん研究センター がん対策情報センターより)]

 こうかん呼吸器では、成人であればどのような年代であっても対応させて頂きます。若くして肺がんが疑われた場合であっても、速やかにかつ丁寧に診療させて頂きます。今後も日々の勉強は欠かさず行い、目の前の肺に病気のある患者さんに全て還元していくことを約束します。肺がんが疑われて検査や治療について相談したい方はぜひ一度、こうかんクリニック 呼吸器内科を受診して頂ければ幸いです。

2024.11.28

日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長

田中 希宇人(たなか きゅうと)

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肺がんを診断するための検査

 X線やCT検査で肺がんが疑われた場合には、次に組織診断を行います。「肺がん」と正しく診断するために、細胞や組織をとる検査としてはいくつか種類があります。

1)喀痰検査

2)胸水検査

3)気管支鏡検査

4)CTガイド下生検

5)外科的肺生検

自分が研修医だった20年ほど前は、がんかどうか、肺がんであれば非小細胞がんか小細胞がんか、だけで治療の内容を決めることができました。この20年でだいぶ医学も進歩し、肺がんであれば、遺伝子変異があるか、免疫治療が効きやすいかどうかなど、治療の前に「がん」そのものを様々な角度から調べる必要があります。その結果で治療方針が大きく変わってきます。検査のためにはある程度のがん細胞の量が必要とされているため、喀痰の中にごくわずかながん細胞が混じっているだけでは不十分です。しかしいずれの検査も患者さんにとっては負担がかかるため、患者さんの年齢や体力、全身状態、肺がんの画像所見やそれぞれの検査の特性をしっかり検討した上で組織をとるための検査方法を決定する必要があります。

 こうかん呼吸器では、肺がんが疑われた場合に速やかに組織診断・病期診断が行われるよう診療しています。実際の患者さんが一番良い状態で最善の検査や治療を受けられるよう、常に呼吸器チームで検討しながら診療を行っています。今後も日々の勉強は欠かさず行い、目の前の肺に病気のある患者さんに全て還元していくことを約束します。肺がんが疑われて検査や治療について相談したい方はぜひ一度、こうかんクリニック 呼吸器内科を受診して頂ければ幸いです。

2024.11.27

日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長

田中 希宇人(たなか きゅうと)

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肺がんで見られる症状

 肺がんだけに特徴的な症状(特異的な臨床症状)はありません。自分で感じる症状が全くないこともあります。せき・たん・発熱・息切れ・胸の痛みなどの症状があって病院を受診することもあります。時々肺がんから大きく出血して喀血(かっけつ:気管や肺からの出血で口から血が出ること)で緊急で受診される方もいらっしゃいます。肺がんが脳に転移して、しびれたり、動けなくなったり、意識がぼんやりしたりして診断される方もいらっしゃいます。ここでは肺がんで見られることのあるいくつか症状について紹介していきます。

1)血痰/喀血

 たんに血が混じるような、血痰や喀血の症状がある場合があります。空気の通り道である気管の表面に肺がんが飛び出している(専門家は「がんが顔を出す」って呼んだりします)ことがあります。血痰や喀血の訴えがある時には、がんの細胞診検査やX線・CT(造影剤を併用することが望ましい)などの画像検査を検討します。

2)上大静脈症候群(SVC症候群)

 首のむくみ、せき、飲み込みにくさ(嚥下障害)などの症状を認める場合には、上大静脈症候群の可能性があります。上大静脈症候群はがんによって上大静脈という頭や腕から戻ってくる血液の通り道がふさがってしまう状態で起こります。右上の肺やリンパ節にがんがある場合に出る症状です。ゆっくり血管がふさがる場合には症状があまり出ないこともあります。症状が強い場合には、そのふさがっている部分に放射線治療を行ったり、血管内治療を行ったりすることがあります。抗がん剤治療も速やかに行う必要があります。

3)高カルシウム血症

 ぼんやりしたり意味不明なことを話したりするような神経症状がでる場合には、肺がんの脳転移のほか、高カルシウム血症が原因である可能性があります。採血で調べることができます。肺がんによる高カルシウム血症としてはがんから異常なホルモン(PTHrP:副甲状腺ホルモン関連タンパク)がでる場合や、肺がんが骨に転移する場合があります。治療としては点滴で水分を補給して、血液中のカルシウム濃度を下げることや、カルシトニン製剤、ビスホスホネート製剤、抗RANKL抗体であるデノスマブ(ランマーク®)といった薬剤を使用することで高カルシウム血症による症状を改善することができます。
 もちろん意識が悪くなる原因となるような、血糖値や電解質異常を採血で調べ、頭部CT・MRIなどの画像検査などの検索は忘れずに行っていきます。

 こうかん呼吸器では、肺がん患者さんの様々な症状に迅速に対応できるような仕組みを日々検討して診療にあたっています。患者さんが安心して治療を受けられるよう、常に呼吸器チームでサポートしてまいります。今後もこうかん呼吸器では日々の勉強は欠かさず行い、目の前の肺に病気のある患者さんに全て還元していくことを約束します。肺がん治療でお困りの方、肺がんが疑われて相談したい方はぜひ一度、こうかんクリニック 呼吸器内科を受診して頂ければ幸いです。

2024.11.26

日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長

田中 希宇人(たなか きゅうと)

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肺がん診療の流れ

 肺がんが疑われる方の病院受診から治療までの診療の流れとして通常は[図1]のようになります。

 これは病院を初めて受診したときの、一般的な肺がん診療の流れです。肺がんという病気は進行が速いこともあり、なるべく受診されてからすぐに治療開始したいと考えています。ただし病気の診断が正しいか(組織診断)、病気の広がりはどんなもんか(病期診断)、他の臓器に病気がうつっていないか(転移の検索)が最適な治療を行う上で大変重要になってまいります。早くに治療を開始したい…という気持ちは、肺がん診療にあたる医療者にとっても同じです。肺がんが疑われた時点で、病院受診から治療開始までの時間を短縮する努力を致します。肺がんかどうかの組織診断と、病気の広がりをみる病期診断を同時に検討していく[図2]のような流れをいつも考えて診療を組み立てていきます。実際には病院受診時から肺がん治療の開始までは、どんなに早くても2週間~1か月程度はかかるかと思います。検査の混雑状況やどのクスリが患者さんの肺がんのタイプに効果があるかを調べる遺伝子変異の検査結果によっては1か月近く治療開始まで経過してしまうこともあります。

 まず明らかに肺がんが疑われる方が来院された場合には、「肺がんの診断」を行うために、顕微鏡で確認するためのがん細胞やがん組織の一部分をどこから取るか考えます。なるべく患者さんに負担のかからない(侵襲度の少ない)検査から、かつ確実に採取できる検査までを頭に描きながら診療に当たります。

 こうかん呼吸器では、肺がんの組織診断・病期診断が速やかに行われ、一刻も早く治療に進めるよう意識して診療を行っています。実際の患者さんが最善の検査や治療を受けられるよう、常に呼吸器チームで検討しながら診療を行っています。今後も日々の勉強は欠かさず行い、目の前の肺に病気のある患者さんに全て還元していくことを約束します。肺がん治療でお困りの方、肺がんが疑われて相談したい方はぜひ一度、こうかんクリニック 呼吸器内科を受診して頂ければ幸いです。

2024.11.25

日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長

田中 希宇人(たなか きゅうと)

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こうかん呼吸器の「肺がん診療」

 日本鋼管病院・こうかんクリニック呼吸器内科では「肺がん診療」にチカラを入れています。
自分が研修医だった20年ほど前の肺がんを思い起こしますと、現在のように多くの治療選択肢がありませんでした。1種類目の治療(プラチナ製剤を含む化学療法)が効かなかった患者さんに対しては、勧められる強いエビデンスのある他の治療がありませんでした。今でこそ多くの医療機関において保険診療内で行っている免疫治療も研究レベルで、一般的な病院では行えませんでした。気持ち悪さを抑えるクスリも種類がありませんでしたので、患者さんには苦痛が相当なものだったと記憶しています。

  肺がん診療は検査も治療もより進歩し、以前に比べ元気で居られる期間が相当長くなりました。現在多くの患者さんに使われているタグリッソ®やアレセンサ®のような分子標的薬も、イレッサ®の登場を皮切りに様々な種類のクスリが実臨床で使えるようになりました。免疫治療も一般的に保険診療内で行うことができます。補助療法と呼ばれる気持ち悪さを抑えるクスリも痛みを抑える治療も以前に比べて大きく進歩し、患者さんの負担もだいぶ軽減されていると思います。医学が進歩し検査や治療の選択肢が増えることは患者さんにとっても医療者にとっても大変喜ばしいことです。ただその反面、肺がんの知識や知見をアップデートし続けていくことは、わたくし達、医療の専門家にとっても大変なことです。ましてや研修医や肺がんを専門としない医療者にとって、最新の肺がん診療を正しく理解していくことは極めて難しいと感じています。 

 こうかん呼吸器では、肺がんを含めて呼吸器疾患に対する知識や知見を常に取り入れるべく、最新の論文を読んだり、勉強会を行ったり、学会や講演会への参加を意識して行っています。実際の患者さんを通じて、最善の検査や治療の検討も呼吸器チームで行っています。今後も日々の勉強は欠かさず行い、目の前の肺に病気のある患者さんに全て還元していくことを約束します。肺がん治療でお困りの方、肺がんが疑われて相談したい方はぜひ一度、こうかんクリニック 呼吸器内科を受診して頂ければ幸いです。

2024.11.22
日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長
田中 希宇人(たなか きゅうと)

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