3番目に紹介する難治性(なんちせい)ぜんそくに対して使用する生物学的製剤(バイオ製剤)は、ベンラリズマブ(ファセンラ®)です。
※難治性ぜんそくについて詳しく知りたい方は「難治性ぜんそく」ってナニ?のブログ記事をご覧ください
ファセンラ®はIL-5受容体α鎖に結合して効果を発揮します。好酸球のアポトーシス誘導し血液中、気道中の好酸球を強力に抑えます。重症の好酸球が関わるぜんそくに適応があり、成人では30mg/回、初回・4週・8週後に皮下注射し、それ以降は8週間隔(2か月に1回)で皮下注射します。

吸入ステロイドや他のぜんそく治療薬でも2回以上の増悪(発作)歴のある好酸球性重症ぜんそく患者さんを対象にした臨床試験では、ファセンラ®で治療した患者さんは血液中の好酸球が300/μL以上の症例で、56週間(約1年)にわたって喘息発作の頻度を減らし、症状も改善しました(Lancet 2016;388:2128)。採血での好酸球の数が高いほどその効果が高まることが知られています。
また鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎に対しては、ポリープの縮小や症状を改善させたとの報告もあります(Clin Exp Allergy 2021;51:836)。今後、EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)に対しても保険適応が通るとされていますので、その効果が期待されているクスリです。
個人的には好酸球が強く関わるぜんそく、特に採血での好酸球の数が1000/μL以上のぜんそく患者さんにはファセンラ®を勧めていることが多いです。ファセンラ®を使うことにより、好酸球の数をゼロにするほどの効果が期待できます。またぜんそくに対して使っている経口のステロイド薬も減らせることが期待できますので、好酸球が暴れているような症例にはよい適応と考えています。ヌーカラ®でも効果が不十分な好酸球性ぜんそくではファセンラ®を試してみることもあります。
こうかん呼吸器は多くの難治性ぜんそく・重症ぜんそく患者さんが通院する医療機関です。今回紹介したファセンラ®を含めて生物学的製剤を検討されているぜんそく患者さん、ぜんそくのクスリについて見直したい、といったご希望のある方はこうかん呼吸器で相談頂ければ幸いです。生物学的製剤の治療選択、吸入など、ぜんそくの適切な診断と治療について丁寧に提案させて頂きます。
日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長
田中 希宇人(たなか きゅうと)