
難治性(なんちせい)ぜんそくに対して使用する生物学的製剤(バイオ製剤)を具体的に紹介していきます。
※難治性ぜんそくについて詳しく知りたい方は「難治性ぜんそく」ってナニ?のブログ記事をご覧ください
まず血液中のIgEを抑えるオマリズマブ(ゾレア®)です。ゾレア®は血中遊離IgEのCε3に結合し、高親和性IgE受容体とIgEの結合を阻害するヒト化抗IgEモノクローナル抗体です。I型アレルギー反応を抑制しIgE陽性細胞を減少させます。難治性・重症の好酸球が関わるようなタイプ2炎症と呼ばれるぜんそく患者さんで、特に血液中のIgEの値が30-1500 IU/mLの方に適応になります。
6歳以上の小児・成人に75-600mg/回、2週または4週毎に皮下注射するクスリです。ただし通年性の抗原感作があるにも関わらず、IgE値が上記の範囲内に収まらず、ゾレア®の適応から外れてしまうことがあります。
ゾレア®の臨床的な効果として、このクスリを使うことによってぜんそくの増悪(発作)を43%減少させた効果が臨床試験で示されています(Chest 2011;139:28)。ゾレア®が高い効果を示す患者さんとしては、採血での好酸球の数が高い方や呼気NOの値が高い方とされています(Am J Respir Crit Care Med 2013;187:804, Allergy 2016;71:1472)。
ゾレア®はぜんそく以外にも季節性アレルギー性鼻炎、特発性慢性蕁麻疹にも有効で保険適応があります。またABPA(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症)やNSAIDs過敏ぜんそく、好酸球性副鼻腔炎や鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎などへの有用性も報告されています。
若い頃から患っているアトピー型ぜんそく、アレルギー性鼻炎や花粉症、慢性蕁麻疹を合併した難治性ぜんそく患者さんにゾレア®の効果を期待しています。好酸球や呼気NO値がそれほど高くなく、IgE値が至適範囲にある場合にはゾレア®が選ばれることが多いです。先日食物アレルギーに対するオマリズマブの効果についての論文も報告(N Engl J Med. 2024;390:889)されておりましたので、食物アレルギーを持っているぜんそく患者さんもよい適応かもしれません。
こうかん呼吸器は多くの難治性ぜんそく・重症ぜんそく患者さんが通院する医療機関です。生物学的製剤(バイオ製剤)を使用している患者さんも数多くいらっしゃいます。今回紹介したゾレア®を含めて生物学的製剤を試してみたいというようなぜんそく患者さん、ぜんそくのクスリについて見直したい、といったご希望のある方はこうかん呼吸器で相談頂ければ幸いです。生物学的製剤の治療選択、吸入など、ぜんそくの適切な診断と治療について丁寧に提案させて頂きます。
日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長
田中 希宇人(たなか きゅうと)