このような話題を紹介するのは不適切かもしれませんが、ぜんそく診療を行う医療者としてぜひ多くの人に知っていて欲しいことがあります。最新の統計でも「1年で約1000人の方が日本でぜんそくによって死亡している」という事実があります(2022年 厚生労働省人口動態統計では、ぜんそく死は1004例)
ぜんそくによる死亡は、治療の進歩、ガイドラインの策定、衛生環境の整備など様々な要因で近年減少しています。ただし短時間作用型β刺激薬と呼ばれる発作治療薬の定期的な使用により、ぜんそくのコントロールを悪化を招いてしまうことがあり注意が必要です。もちろん吸入ステロイドをちゃんと指示通りに使って、それでも症状がツラい場合に発作治療薬を時々使用する分には全く問題がありません。発作治療薬だけを定期的に使用することが良くないのです。それは定期的に使用する気管支拡張薬である、長時間作用型β刺激薬でも同様のことがあり、やはり吸入ステロイドをしっかり使うことが重要になります。
大人のぜんそくによる死亡は、発作後1時間以内に命に関わってしまう方が13.6%、3時間以内が29.7%であり、急に状態が悪くなってしまう方が思いのほか多いことが分かっています(日本アレルギー学会 喘息死特別委員会からの報告)。
もともと軽症のぜんそくであったとしてもぜんそく死に至ってしまう方もいらっしゃいますので、その点は医療者も患者さんもしっかり認識しておく必要があります。特に重篤な発作で入院歴のあるぜんそく患者さんはリスクになりますので、症状が落ち着いていても治療を怠らないよう注意が必要です。
私も病院に20年ほど勤めておりますが、ぜんそくが原因と考えられる症状で亡くなってしまった方を数人経験しています。その経験からこれからはぜんそくが原因で死に至ってしまう方を1人でも出したくないと強い思いがあります。
こうかん呼吸器は多くの難治性ぜんそく・重症ぜんそく患者さんが通院する医療機関です。地域の中核病院としてぜんそく死にも適切に対応していく使命があります。ぜんそく症状で困っている患者さん、生物学的製剤を使用しても症状のコントロールできない患者さん、ぜんそくのクスリについて見直したい、といったご希望のある方はこうかん呼吸器で相談頂ければ幸いです。生物学的製剤の治療選択、吸入など、ぜんそくの適切な診断と治療について丁寧に提案させて頂きます。
日本鋼管病院 呼吸器内科 診療部長
田中 希宇人(たなか きゅうと)