膝関節の構造

膝には上記のように4本の靭帯と2つの半月板があります。
骨と骨をつなぐゴムのバンドのようなものと考えて下さい。
(半月板はクッションのような働きをします)
大腿骨(太ももの骨)に対して脛骨(すねの骨)が
前方に脱臼するのを防いでいます。
靭帯に加わる力が非常に大きいと、
靭帯はその力に耐えきれずに切れてしまいます。
これが「膝前十字靭帯損傷」です。
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写真左は正常な前十字靱帯、写真右は損傷後約6ケ月放置していた前十字靱帯。 |
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1) |
手術は膝関節を大きく開かずに内視鏡(関節鏡)を用いて行われます。 そのため、外見上(皮膚)の傷は小さいもので済みます。 |
2) |
「自家腱」といって、自分の身体の一部の腱を取り、前十字靭帯の付着部である脛骨(すねの骨)と 大腿骨(太ももの骨)にトンネルを掘り、その中に腱を通し、両端を金属などで固定します。 自分の靭帯を使うため拒絶反応はおこりません。 |
3) |
移植する腱は、太ももの裏の内側にある半腱様筋腱や、稀ではありますが、 薄筋腱(半腱様筋腱が細い場合)を追加して用います。 他にも膝の前にある膝蓋腱という腱を使用する方法もあります。 |
![]() すねの内側から自分の腱を採取 |
![]() 移植するための腱を作成 |
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1) | 内視鏡を使用するため、傷口が比較的小さく、手術によるダメージが少なくて済む。 |
2) |
本来、前十字靭帯は前内側線維と後外側線維束という2つの線維束からできており、 再建時にはそれを模倣して、より正常に近い形での再建術を行うことが可能。 |
3) |
ACL損傷を放置することにより「半月板損傷」や後の「二次的変形性膝関節症」を 引き起こす可能性が高いが、再建術により膝の前方不安定性を再獲得し、 半月板損傷のリスクを減らすことができる。 |
1) | 初期の固定力が比較的弱く、骨と腱の癒合に時間がかかる。 |
2) | 半腱様筋腱採取により膝を深く曲げる力(膝屈曲力)が若干低下する。 |
3) | 術後、スポーツ復帰までには約7~8ヶ月を要する(個人差があります)。 |
![]() 手術直後の再建靭帯 |
![]() 約1年後再鏡視時の再建靭帯 |