臨床検査技術科
検査科の種類
検体検査・生体検査を実施し、各診療科に検査結果を提供することが主な役割です。
業務は「検体検査」と「生体検査」に分けられます。
検体検査は、患者さんから採取した「血液」、「尿」、「便」、「痰」などを各検査室で検査します。
検査には「尿検査」、「血液検査」、「生化学検査」、「免疫検査」、「微生物検査」などがあります。
また、組織などを検査することを「病理検査」といいます。
生体検査は、直接患者さんに検査技師や医師が検査機器を使用して、体の動きや臓器の様子をみる検査で、「生理検査」とも呼ばれています。
当科ではその他に、病棟の患者さんの採血や外来患者さんの採血も担当しています。
病院には緊急検査室があり、夜間・休日などにおける救急外来の患者さんや入院患者さんの緊急検査を24時間対応できる体制を整えています。
採血
検査科採血室では外来患者さんの採血、採尿を行っています。採血を安心して受けられるように心がけています。
採血用バーコードラベルで運用して、検査結果を 臨床側に送ります。
採血は通常、腕の静脈(肘静脈)から採血を行います。
食事などが検査データに影響する場合がありますので主治医の先生の指示にしたがって下さい。
採血後は3分程度採血部位をしっかり押えてください。
押さえる時間が短いと、腫れて青くなったり痛むことがあります。
採尿は採尿用のトイレがありますので、採尿用ラベルをカップに貼り尿を採って下さい。尿が出ないときは尿検査室に声を掛ける様お願いします
尿検査
血液検査
採血された血算用試験管を分析装置にセットすると自動的に血球を測定します。
赤血球数(RBC)、ヘモグロビン量(HGB)、ヘマトクリット値(HCT)からは貧血の状態を、白血球数(WBC)からは炎症や血液疾患の状態を、血小 板(PLT)からは血液の止まり具合が分かります。また白血球は細かく分類して測定が出来るので病気の状態がより分かりやすくなります。
凝固検査
輸血検査部門では患者さんに安全な血液製剤を供給するためにいろいろな検査を行っています。
第一に患者さんの血液型が何型であるのか輸血に重要となるABO式血液型、Rh(D)血液型を調べる必要があります。
当院では間違いがないように複数回検査をしたり、コンピューターで確認したうえで血液型を決定します。
第二に不規則性抗体検査というものを行います。妊娠や輸血の経験(抗原の進入)により抗体と呼ばれる防衛隊が作られることがあります。体の反応としては正しいのですが輸血される血液にとっては悲劇となります。
輸血される赤血球に記憶された抗原があると破壊されてしまうことがあるのです。
このような悲劇が起こらないように第三の検査、交差適合試験という検査を行います。
この検査を行うことで患者さんに適合した血液が選ばれるのです。
もう一点、輸血検査部門で行う重要な仕事があります。それは血液製剤の保管・管理です。
輸血で使う血液はすべて赤十字血液センターから取り寄せています。患者さんに安全に使ってもらえるよう輸血検査部門で厳重に保管・管理を行っています。
輸血検査部門ではこうした輸血に関する検査や輸血する血液の管理を主に行っています。
24時間患者さんに安全な血液を供給するために2名の輸血認定検査技師を含む4名の輸血専任スタッフによるバックアップのもと、検体検査系技師全員で輸血検査に取り組んでいます。
生化学検査
生化学検査は皆様から採血された血液を遠心分離して得られた血清(血漿)と呼ばれる血液成分を化学的に分析して、いろいろな臓器からの情報を得るための検査です。
ある臓器の細胞が破壊されることにより、その臓器特有の物質が血液などに流出しそれを調べることで異常を見つける手助けになります。
その他に尿、穿刺液(髄液、腹水、胸水)などの検査もあります。
血清中の蛋白質の比率を調べいろいろな病気の状態を調べる検査です。
免疫血清検査
免疫血清検査は血清中の病原体に対して産生される物質などを分析する検査です。
その他に腫瘍マーカー、ホルモンの検査も実施しています。
皆様から採取された血液、尿などはそれぞれの検査専用の容器に入れ、すべてをバーコードラベルで管理しており、正確で迅速な検査をおこなっています。
細菌検査室
細菌検査室では、2名の臨床検査技師が勤務しています。検査の内容は、感染症を起こしたと考えられる患者さんから検体(喀痰、便、膿など)を採取し、起炎 微生物の検出・適切な抗生物質の情報提供を主な業務としています。たとえば、肺炎・気管支炎などの呼吸器感染が疑われる場合は肺炎球菌・溶レン菌・インフ ルエンザ菌・結核菌を、食中毒などの腸管感染の場合は病原大腸菌O-157・赤痢菌・サルモネラ菌・コレラ菌などを目的として培養し、自動化機器を使用し てより迅速な検査を進めています。また、院内感染の原因となるMRSA(メシチリン耐性黄色ぶどう球菌)・セラチア菌・VRE(バンコマイシン耐性腸球 菌)などの多剤耐性菌には特に注意をはらい、検出状況は臨床及び院内感染防止委員会に随時情報を提供し、院内感染対策を行っています。正確・迅速・安全な 検査を心がけています。
緊急検査室
各検査室は、月曜から金曜の午前8:45から午後5:10。土曜の午前8:45から午後2:10の勤務体制となっています。
それ以外の夜間・休日などにおける、救急外来の患者さん及び入院患者さんの病状急変時の緊急検査を行い、24時間検査に対応できるように診療サービスの向上に努めています。
緊急検査室は、検査技師1名が交代で担当します。年末年始など、長期休診日が続くときは、必要に応じて、検査技師2名体制としています。
測定可能項目
生化学検査 | TB,AST,ALT,ALP,LDH,AMY,Na,K,Cl,BUN,CRN,血糖,TP,CRP,G-GTP,CPK,CPK-MB,P-AMY,Ca,アルブミン。 |
アンモニア,H-FABP,トロポニン定性 | |
末梢血液検査 | WBC,RBC,Hgb,Hct,MCV,MCH,MCHC,Plt |
血液凝固系検査 | PT,APTT,フィブリノーゲン,トロンボテスト,FDP簡易法 |
血液ガス分析 | pH, PO2,PCO2 |
尿検査 | 比重,pH,蛋白,糖,ケトン体,潜血,ウロビリノーゲン,ビリルビン,亜硝酸塩,白血球 |
妊娠反応 | |
感染症検査 | HBs抗原,HBs抗体,HCV抗体, HIV抗体,TP抗体 |
インフルエンザ検査 | |
血液型検査 | *検査技師1人の時は、担当医の確認と、後日、確認試験を行っています |
交差適合試験 | *必要に応じて、輸血認定技師が担当 |
髄液検査 | 細胞数、細胞分類、潜血 |
血液製剤の管理 | |
その他(診療時間内対応) | アデノ,ロタ,RS,尿中肺炎球菌,尿中レジオネラ,ベビービリルビン |
異常値の連絡
緊急を要する異常値については、通常の報告とともに、担当医師に連絡をして、患者さんの処置が迅速にされるように、チームワーク医療に努めています。
生理検査室
生理検査室
生理機能検査(生体検査とも言います)は、直接患者さんに対し検査技師や医師が検査機器を使用して、患者さんの体の働きや臓器の様子をみる検査です。 私たちの検査室では、以下の検査を行っています。検査の様子や内容に興味のある方は項目名をクリックすると少し詳しい説明がご覧になれます。
当院の特色
超音波(エコー)検査では、最新鋭の機器を備え、学会認定の超音波検査士(6名)が中心となり、腹部・心臓・乳腺・血管・頸部・整形及び皮膚科領域・妊産 婦など幅広い検査を行っています。当病院は超音波専門医研修施設であり、画像診断の要である放射線診断医と共に質の高い検査を目指しています。
全身の動脈硬化の程度をみる頚動脈エコーや、エコノミー症候群で注目された肺塞栓症の原因となる血栓を調べる下肢静脈エコーなどの血管超音波検査も積極的に導入してきました。これらを含め、年間約15,500件の超音波検査を行っています。
スタッフ
臨床検査技師9名(男性2名・女性7名)が、日本鋼管病院とこうかんクリニックで検査を担当しています。
検査項目
- 心電図検査
├安静時心電図
├24時間心電図(ホルター心電図)
└運動負荷心電図
└(マスター運動負荷試験・トレッドミル法) - 呼吸機能検査(肺年齢)
├肺活量、努力性肺活量(肺年齢)
├呼気NO濃度検査
├機能的残気量(残気量)
├肺拡散能力
├呼吸抵抗
└呼吸筋 - 超音波(エコー)検査
├心臓超音波検査
├腹部超音波検査
├血管(頸動脈、上肢動静脈、下肢動静脈)超音波検査
├乳腺超音波検査
├頸部(甲状腺、顎下腺、耳下腺 他)超音波検査
├整形領域超音波検査
├皮膚科領域超音波検査
└妊産婦超音波検査 - 脳波検査
- 誘発筋電図検査
- 誘発電位検査
├聴性誘発電位検査(ABR)
└体性感覚誘発電位検査(SEP) - PSG検査
- 加速度脈波検査(血管年齢)
- ABI(足関節上腕血圧比)検査