当科では、川崎市の地域における神経内科の病気の患者さんの診断や治療を行っています。
なかでも、アルツハイマー型認知症の患者さんだけでも当院に年間約450名の方が外来受診および入院をされており、そのうち約3分の2が神経内科の外来で通院治療をされています。
神経内科の病気は他の科に比べ多様性に富んでいるため、それぞれの病気、患者さん個々の状態に応じて、的確な診断と最良の治療を行うことを心がけています。
神経内科医の重要な仕事は、どこに病気があるのかを見極めることです。
その上で、神経や筋肉に問題があれば神経内科で治療を行い、骨に異常があれば整形外科、手術が必要な場合は脳神経外科、精神的なものは精神科にご紹介します。
最初にどの科にかかるか分からない場合は、前もって電話で相談されるか、初診受付で聞いてみて下さい。
もし病気の診断のために当院で行えない特殊な検査が必要な場合には、近隣の病院あての紹介状を迅速に作成します。
神経内科は脳や神経の病気の診断と治療を行い、取り扱う病気は以下のようなものがあります
急性期から慢性期までの脳卒中(脳梗塞、脳出血など)の診断・治療を行ってます。
(超急性期の脳梗塞や外科的治療の必要な脳出血・くも膜下出血を除く)
入院治療では患者さんに応じた検査と適切な治療を行い、可能であれば早期からのリハビリテーションも
行います。
患者さんが在宅に戻れる可能性があり条件を満たす場合は、回復期リハビリテーション病棟を有する病院へご紹介し、リハビリを継続することもあります。
外来では脳卒中を起こされた方の再発予防のための検査や治療を行います。
また、脳卒中を起こしたことがなくても、「高血圧」・「高脂血症」・「糖尿病」・「心房細動」・
「喫煙習慣のある方」など、将来脳卒中を起こすリスクの高い患者さんには積極的に治療を行います。
「内頚動脈狭搾症」などで治療の必要な場合、血管外科の医師と診療を行います。
「頭痛」はとても訴えの多い症状であり、その原因の病気を正しく診断するための問診・診察、検査を行います。
「くも膜下出血」のような入院が必要な重大な病気なのか?、「偏頭痛」のように外来で治療できる病気なのか?見極めることが重要です。
検査では採血検査、頭部CT・MRI、脳波などを行います。外来では「偏頭痛」、「群発頭痛」、「緊張型頭痛」、「薬物乱用頭痛」、「三叉神経痛」、「後頭神経痛」の患者さんが多く、まれに「脳出血」や「脳腫瘍」の方がおられます。
患者さんにとってはどの頭痛も悩ましいものですが、特に頻度が高いのは「偏頭痛」です。
偏頭痛は日常生活に影響を及ぼす病気であり、強い頭痛で、音や光に敏感になり、吐き気を伴ったりして、
数時間持続します。
当科の外来では、偏頭痛に対する正しい服薬管理・頭痛予防・生活管理についてアドバイスを行っています。
一方で、鎮痛薬を頻繁に摂取しすぎると「薬物乱用性頭痛」になる可能性があります。
3 ヵ月以上の期間、定期的に10 日/月 以上トリプタン製剤を摂取したり、
1ヶ月に15日以上単一の鎮痛剤を服用する場合は、薬物乱用頭痛の可能性があります。
外来受診のうえ医師に相談して下さい。
「てんかん」は患者数が多く、日本では人口の約0.8%にあたる約100万人の患者がいると言われています。
当科では、外来または入院にて「てんかん」の治療・診断を行います。
採血検査・脳波・頭部MRIなどの検査を行い、患者さんの病態に応じた治療を行っていきます。
また、内服継続の意義・規則正しい生活・飲酒を控えるといった教育的な指導も致します。
妊娠中の治療についても適宜相談に応じています。
「パーキンソン病」は
・静止時振戦(手のふるえ)
・強剛(関節が固くなること)
・動作緩慢・姿勢反射障害 などの運動症状を特徴とする進行性の病気で、
自律神経障害(便秘など)、うつ・睡眠障害・認知症などを合併することもあります。
日本では、中高年の方に起こりやすく、約15~18万人の患者さんがいると推定されています。
当科では、パーキンソン病に対して正しい診断のための検査や患者さんにあわせた治療を行っています。
頭部MRI・MIBG心筋シンチグラム・脳血流SPECTなどの検査を行い、
L-ドパ製剤・ドパミンアゴニスト・モノアミン酸化酵素B阻害薬・COMT阻害薬・アマンタジン・
ドロキシドパ・ゾニサミドなどを、症状に応じ組み合わせて治療を行います。
また、外来でリハビリ治療を行い運動機能の維持に取り組んでいます。
脳深部刺激療法という手術療法で改善が見込まれる場合は、日本医科大学脳神経外科などと連携して
治療を行うケースもあります。
パーキンソン病の早期診断について
歩行時のふらつき・手の震え・ろれつが回らない等を症状とする進行性の病気で、
日本では「脊髄小脳変性症」の患者さんは3万人以上いると言われています。
これらに対して、外来で、難病申請をしてセレジスト(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン誘導体)を使ったり、筋肉のつっぱり・めまい感など症状に応じて治療を行います。
個人差の大きい病気ですが、飲み込みができない場合は嚥下の評価を行い、リハビリなども行ないます。